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赤線玉の井 ぬけられます 
 陽気で哀しい女たちのエピソードを
 長回しと音で巧妙につなぐ語り口。
1974/78分/日本/監督・脚本:神代辰巳 原作:清水一行 撮影:姫田真佐久 美術:横尾嘉良 編集:鈴木晄 出演:宮下順子/蟹江敬三/前野霜一郎/丘奈保美/五条博/芹明香/吉野あい/中島葵/絵沢萠子/殿山泰司



昔買っておいたビデオを再見。映画館でも見たな。

舞台は売防法施行前夜の玉の井(昔の墨東寺島町)。「小福」という売春宿で働く女たちの正月の数日間を描いた映画である。

宮下順子はどういうわけか刺青をしている男にヨワい女。バクチ打ちでヒロポン中毒の蟹江敬三をヒモにし、自分も腿に花札の桜の刺青をしている。蟹江から離れることができず、金を工面するためにアクセサリーを同僚に売り、賭場に金を届けるが、蟹江に素っ気なくされ、賭場の廊下で自慰にふける。

一方、馴染みの客と結婚した芹明香は温泉で正月を過ごそうとするが、元客の旦那はどうにもセックスが下手。早々に帰ってきて店に顔を出し、「やっぱお店はいいわあ」などとくつろいだあげく、旦那では欲求が満されない、洗って帰ればわからないんだからと客をとって二階にあがってしまう。あきれ顔の女将。

丘奈保美は、昨年の正月に先輩の中島葵の去年の正月に一日で26人も客をとったと聞いて、その記録を破ろうと大はりきり。帳場の殿山泰司から酔っぱらい相手には股火鉢が効くと聞かされた女たちは、早速、大火鉢にまたがって客を相手にすると効果は抜群、男は次々と終ってしまう。果たして、丘の記録更新はなるのか。

──と、まあ陽気で哀しい3つのエピソードが同時進行で交互に語られる。

のっけから始まるシーン(現天皇と皇后の軽井沢のテニスの写真がインサートされている)は、布団の上での丘の <仕事> の一部始終から、客を追い出して階下までを一気に見せる長回し。2つのまったく関係ないシークエンスをつなぐ音やカットの使い方は神代辰巳独特のものだが、相米慎二も得意としたやり方である。

さて、この映画の翌々年のこと、宮下順子と絡んでいた前野霜一郎という俳優は、ロッキード事件の渦中にあった右翼の児玉誉士夫邸2階にセスナで突っ込むことになる。隣室にいた児玉は秘書らに背負われて一命を取り留めた。セスナは庭木に接触したため寝室を逸れて隣の茶室に突入したのだった。特攻服に身を包んで七生報国の鉢巻をしていた前野の最後の言葉は「連絡しないで申し訳ありませんでした」「天皇陛下万歳」という落ち着いた無線連絡だったという。筆者の記憶によれば、この事件に対する当時の風潮は、必ずしも否定的なものではなく、どちらかというと同情的であり、賛美する向きすらあった。







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